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先週、法制審議会部会にて、遺産分割の規定を見直す試案がまとまりました。
「婚姻期間が20年以上の夫婦のどちらかが死亡した場合、配偶者に贈与された住居は遺産分割の対象にしない。」との内容で、「意見公募を行い、そのの結果を踏まえ、年内にも要綱案をとりまとめ、来年の通常国会で民法改正案の提出を目指す」との指針が発表されました。
遺産分割は、亡くなった被相続人が保有していた遺産を、相続人で分ける制度で、夫が亡くなり、配偶者の妻と子どもが相続人の場合、妻が2分の1を相続し、残り2分の1を子どもの人数で分けると民法で法定相続分が定められています。
現行制度では、居住用の土地・建物は遺産分割の対象になり、亡くなった被相続人が遺言で「住居は遺産にしない」などと意思表示しなければ、生前贈与をしていても他の相続人からの遺産分割の申出があれば、住居を含めて分け合わなければならなくなり、住居以外の財産が少ない場合、住居を売却して分けることになり、配偶者は住む家が無くなってしまう恐れもあります。
居住財産には、20年以上連れ添った配偶者が贈与を受けた場合2000万円までの居住財産は非課税にする特例があります。この特例措置の利用は2015年で1万3959件あり、配偶者に住居を遺すための手段を講じる必要性を感じている人が多と推測されます。
適用には条件(婚姻期間20年以上、配偶者に贈与する意思を表す)が付されますが、夫婦のどちらかが先に亡くなった場合でも住み慣れた家に住み続けるように遺産分割の見直しが実現すれば、より安心して老後の生活設計を考えられるようになりますね。